和菓子屋に生まれ、私の人生において和菓子はいつもそばにあるものでした。小さい頃からお店の手伝いをして、父や母と一緒に働き、お客様が「いつも美味しい和菓子をありがとう。」と笑顔で声をかけてくれることが幼いながらにも嬉しかった記憶が鮮明に残っています。だからこそ自然とこの仕事についたのかもしれません。
和菓子づくりに携わるようになってからは、和菓子の歴史や奥深さを知り、また、素材ひとつひとつにおいても産地や気候で品質が大きく変わるため、どう活かしてつくればいいのか考えることも面白くなっていきました。
また、和菓子の素晴らしさは季節を感じられることだと思っています。四季折々の和菓子は見た目や香り、もちろん味で楽しむことができますが、また、それを口にした時の思い出や感動が蘇ってくると思います。旬の素材の良さを最大限に引き出しつくった、その和菓子でお客様に季節や思い出を味わってほしいと思っています。
和菓子はお腹を満たすだけでなく、心も満たすものです。お菓子を食べる時は自然と笑顔になるものです。誰かを笑顔にできる素晴らしい和菓子づくりを仕事にしている喜びがさらなる創作意欲に繋がっています。そして、初代の時から通っていただいているお客様、代を重ねて通ってくださるお客様がいらっしゃったりと扇月はお客様に恵まれ、支えられていることを幸せに思い、毎日真心を込めて和菓子づくりができる今の環境に感謝しています。